日本全国には華厳・白糸・那智等々の有名な滝がありますが、ここ富山には落差日本一の称名滝(しょうみょうだき)があります。
富山県中新川郡立山町と富山市を流れる常願寺川(じょうがんじがわ)の上流にある称名滝。
(称名滝がある場所の住所は立山町)
立山連峰を源流とし、弥陀ヶ原台地から一気に流れ落ちる滝の落差は日本一の350m。
東京タワーの333mを軽く超え、東京タワーがスッポリ収まる高さなのです!
今回はそんな落差日本一の称名滝をご紹介します。
四段構想の滝で水量が半端ない!
滝と言えば上部から下部に一気に流れ落ちるイメージが多く、滝で有名な華厳の滝や那智の滝なども一段の滝で一気に流れ落ちる滝です。
(那智の滝は一段の滝としては落差133mで日本一です)
しかし、称名滝は四段構想の滝になっており上部から一段目が70m、二段目が58m、三段目が96m、最後の四段目が126mで階段的な滝になっており総落差で350mになるわけです。
落差もさることながらその落差から注ぎ込む水量が尋常じゃないんです!
通常期は毎秒約0.5t~2t程の水量(これも毎秒なので結構な量ですが…)ですが、春先の雪解け水が多い時期(概ね4月~7月)にはなんと毎秒約100tの水が降り注いでいるのです。
その水量と落差が合わさることによって起きる水しぶきは、滝つぼから離れた滝見台にまで飛んできますので大阪や東京(正確には千葉)にある某テーマパークのアトラクションよりもスリルを味わう事が出来ます。
水量が少ない時期であってもその落差から見る光景は粗らしくもあり、どこか優しさを感じれる流れを見ることが出来ます。
本当の落差日本一は幻の滝!?称名滝の横にラスボスが…
先程から称名滝が日本で一番の落差のある滝とご紹介してきましたが、実は日本で一番落差がある滝は他にあるのです…。
しかも、その滝がある場所はなんと称名滝の横(右側)にある一定の時期のみ見ることが出来る幻の滝です。
上部の写真をご覧頂くとわかるのですが、左側を落ちる四段の滝が称名滝で、右側を落ちる滝が幻の滝と呼ばれるハンノキ滝(別名ネハンの滝)です。
その落差は称名滝より150m近く高く497mの高さを誇ります。
何か高さを比べれるものが無いかと調べたのですが丁度良い高さが無く、簡単に説明すると東京都庁が2つスッポリ収まる高さです…。(東京都庁242.9m)
また、高さ世界一の634mの東京スカイツリーの展望回路(一般の人が行ける一番高い場所)が450mですからそれをもしのぐ高さなのです。
このハンノキ滝が幻と言われる由縁は、水量の多い春先でしか基本的には見られないからです。
水量の多い時にしか出来ない滝なので、落差日本一は通年で見ることのできる称名滝が日本一の称号を持っているという事になります。
ただ、これは私的な内容になるのですが、自分が昔、秋口の雨の多い時期に行った際に春先のような水量でありませんでしたがハンノキ滝が出ていた記憶もあり、タイミングが良ければ見ることが可能では?と思っています。
ただ、称名滝へ行くルートは雨量によって通行止めになりますので、くれぐれも情報を確認して安全に考慮の上、お出かけ下さいね。
実は春先の水量の多い時期にはハンノキ滝の横にもう一つの滝、ソーメン滝も現れ、運が良ければ合計3つの滝を見ることが出来ます。
称名滝のトリビア
称名滝の名前
平安時代から鎌倉時代にかけていた僧で、浄土宗の開祖『法然上人』が滝の轟音(ごうおん)を聞いて「南無阿弥陀仏」の称名念仏の声を聴いたと由来する。
称名滝で発電計画
水量、落差共に申し分のない滝なので、その力を使って戦時中の電力不足を補うために水力発電を作るという計画があったようです。
その工事を進めている最中に終戦となってしまい、工事は完遂することなく取りやめになりましたが、今も3段目の滝つぼに当時の工事で掘削した跡があるようです。
(さすがにこの工事跡を見ることは出来ません)
滝は今も後退している
実はこの称名滝は遥か昔の10万年程前は、現在の場所から15キロほど下流にあったのです。
長い年月をかけて水の力で山肌を削り、年間10㎝程度(10年で約1m)削ってきて今の場所になっているのです。
ちなみに、今もこの後退は続いており、今から50年後には今の場所より5m後退した場所に移動するようですね。
そうなったらGoogleマップは書き換えられるのだろうか…?
※WikipediaとNHK『ブラタモリ』より引用
さて、称名滝は如何だったでしょうか?
称名滝は例年11月下旬から翌年4月中旬は冬季閉鎖期間になるので見ることは出来ません。
また、通行時間や天候次第では通行止めになりますので、お出かけの際は正確な情報を確認して下さいね。
【確認URL】https://www.pref.toyama.jp/kendodukuri/doboku/tateyama/index.html
(称名滝は無料で見ることは出来ますが、専用駐車場より滝見台へは鋪装された緩やかな坂道を徒歩でしばらく(30分程度)歩くので健康状態をくれぐれも考慮下さい)
称名滝は落差もさることながら、その壮大さと優美を兼ね揃えた唯一無二の滝だと思います。
また、滝へ向かう道中の『悪城の壁』は何万年もかけ滝が後退する事によって出来た断崖はどこか日本に居ることを忘れるような景色を見ることが出来ます。
春には豊富な水量・夏には緑に囲まれた山並み・秋には一面の紅葉と、冬季以外は様々な様子を見ることが出来ます。
そんな自然のおりなす景色を一度見に行ってみては如何でしょうか?