産業

一次産業の代名詞!富山のお米作り ~『ほおばる幸せ』でお馴染み『富山米』~

富山県民の方ならお馴染み、JA全農とやまさんの『ほおばる幸せ』。

これは富山県内で生産している富山米のキャッチコピーです。

最近では良く都内のスーパーなどでも目にする富山米のパッケージにも多く記載されていますし、新米が取れて都内で普及イベントを開催するときにも大々的にアピールしています。

 

富山県はお隣の新潟県や北海道・東北地方などに次いでの米どころ。

豊富な水源と豊かな土壌のおかげで美味しいお米がとれる環境が揃っているようです。

今回はそんな日本の一次産業の要でもある、富山のお米をご紹介しています。

 

 

誰もが知っている『コシヒカリ』、育成に携わった富山県民とは!?

お米の銘柄は色路ありますが、中でも『コシヒカリ』を知らない方は少ないのではないでしょうか?

そして、『コシヒカリ』と聞くと真っ先に思い浮かべるのがお隣の新潟県魚沼産ですね。

まさにブランド米の代名詞でもあります。

 

全国のお米約30%が『コシヒカリ』で占めているのですが、この『コシヒカリ』という品種の育成に携わった方が富山県東部にある中新川郡上市町出身の杉谷文之さんです。

 

『コシヒカリ』昭和19年~20年代かけて研究・試験農作が行われ、新潟県農業試験場の高橋浩之さんの手で最初に交配が行われ、その後、福井県の試験場で石墨慶一郎さんと岡田正憲さんの手によって育成が行われ「越南17号」という系統名が付けられました。

 

多くの県で試験農作が行われるも、収穫量が少ない・病気にかかりやすい・茎が折れやすいという結果が出て栽培そのものが危うくなる中、新潟県と千葉県のみ試験農作の結果が違い、当時、新潟県農業試験場で勤務していた杉谷文之さんは新潟県の奨励品種にする事を目指し、昭和30年、農林省の申請がおり「農林100号」に登録され、現在の『コシヒカリ』になったのです。

その後、上市町出身の杉谷文之さん等の手によって栽培方法などのさらなる研究が行われ、栽培方法が確立され、多くの地域でも栽培されるようになり、今や日本のお米30%近くを占める品種となったわけです。

 

ちなみに余談ではありますが『コシヒカリ』の子ども(後に品種改良された)が「ひとめぼれ」「あきたこまち」「ヒノヒカリ」なんですよ~。

 

富山県生まれのお米

さて、『コシヒカリ』のように多くの品種改良や研究を重ねて作られるお米の品種ですが、もちろん富山生まれの品種もありますのでご紹介したいと思います。

 

「てんたかく」

「ハナエチゼン」と「ヒトメボレ」の交配で生まれた品種。

名前の由来は富山の立山連保のように大きく全国へ広まって欲しいと付けられた。

 

 

「てんこもり」

「富山36号(後の来夢36」と「と系1000」の交配で生まれた品種。

名前の由来は生産者の熱い思いを込め、最高のおもてなしをするという意味で付けられた。

 

 

富富富(ふふふ)

交配は交配系譜が難しいので割愛します…。

名前の由来は「富山の水」「富山の大地」「富山の人」の豊の象徴の「富」を取って付けられた。

 

 

 

お米はどうやってできる?

普段、何気なく食べるお米。

では、お米はいったいどのように出来るかご存じですか?

「種をまけば勝手に生えてくる」と…、そんなわけありません。

農家の皆さんが手塩にかけて作るお米作りの工程を少し紹介したいと思います。

 

【2月~4月】

先ずは春になる前に、お米の元になる種もみの芽出し作業からスタートします。

種もみを一定期間水に付け種もみの消毒と発芽を促し、その後、温かい育苗機などで発芽させ、発芽した種もみを土の入った育苗箱にまき育苗機に入れて一定期間育てます。

 

【4月~5月】

育苗機で目が少し伸び、種もみの上にかけた土の上から芽が出た状態になったらビニールハウスへ移し、苗の長さが8㎝~10㎝になるまで育てます。

 

ハウスで育てている最中に、苗を植える田んぼでは田植えの下準備となる田起こし→荒くり(あらくり)→代かき(しろかき)をトラクターで行い、下準備を行います。

 

ハウスで育てた苗が規定の長さになったら田植え機や人の手を使って田植えを行います。

 

【6月~8月】

植えた稲(苗)の成長を見ながら、中干(茎の増えすぎを防ぐ)をしたり、肥料をやったり、防虫の為に田んぼの周りの草刈りなどを行います。

 

【9月】

大きく育った稲穂を見て、田んぼを乾燥させコンバイン(稲刈り機)で稲刈りを行います。

刈り取られたお米(この時点ではもみ殻がついた状態)を乾燥機に入れ、お米の水分量を規定数値まで乾燥させます。

 

規定数値になったお米を籾摺り機(もみすりき)で籾殻を取り、米選機(べいせんき)で規定の大きさのお米の選別や未熟米の選定を行います。

最後に、既定の重さ(主に30キロ)の袋に入れてJA等に出荷し、精米された状態のお米がスーパーなどに出荷されます。

 

如何ですか?

普段何気なく食べているお米は、半年以上の期間と色々な手間暇をかけて作られています。

一説には『米』は漢字を分解した「八」「十」「八」の八十八の作業があるといいますがあながち間違ってはいないと思います。

今は機械化も進みある程度、楽にはなっていますがまだまだ人の手があってこそ食べることが出来るお米ですので、是非、味わいながら食したいですね。

 

 

富山県内でのお米の生産量は毎年約18万トン(作付面積は約3400ha)近くに上ります。

また、全国でお米作りの元となる種もみの生産委託分の約6割が富山県内で生産されています。

昨今では人手不足や農業従事者の高齢化等も進み、このままでは減少していく可能性も十分あります。

 

豊富な水源、良好な土壌、最適な気候などお米作りに適した富山県。

そんな美味しい富山米をこれからも生産維持してもらうためには私たち消費者側も、もっとお米を食べていく事も必要だと思います。

 

是非、スーパーなどで富山米を見かけた際には、ご賞味いただければと思います。

また、農耕期に富山を訪れた際は富山の田園風景などを見てみては如何でしょうか?

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