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富山県のシンボル『立山』!立山信仰に込められた想い

「越中で立山 加賀では白山 駿河の富士山 三国一だよ」これは富山市八尾(旧八尾町)で毎年9月1日~3日にかけて行われる『おわら風の盆』で歌われる越中おわら節の一節です。

日本三名山(日本三霊山)にあげられる霊峰『立山』。

 

古くから富山県民は元より、日本各地の人々に霊山として信仰されてきた『立山』を今回はご紹介いたします。

 

ちなみに、霊山というと幽霊がでるの?…、と万に一つ思う方がいると大変なので補足しておくと、霊山とは山岳信仰の中で山自体が崇拝(拝まれる)の対象となる山を指していますので、決して幽霊は出ませんのでご安心下さい。

 

 

『立山』だけど『立山』はない!?

標高日本一(3,776.12m)を誇る富士山に登山された経験のある方も多くおられると思います。

「富士山に登った」は表現的に正しいのですが、立山に登山した方が「立山に登った」は正確に言うと誤りなのです。

これだけ『立山』『立山』というのに何故?と、思われるかもしれませんが『立山』は総称名であり正式には『立山』という山は存在しないのです。

雄山・大汝山・富士ノ折立の三峰を総称して『立山』と呼びます。

ですので、立山に登られる多くの方はこの三峰の内、『雄山』に登ったが正解なので、「立山に登った」と言うときは雄山・大汝山・富士ノ折立の三峰に登山しなければならないのです。

と、言うのが厳密な話にはなりますが、ここではそんな厳密な紹介はこれぐらいにしておき、

『立山』の紹介をしたいと思います。

 

先ずは先程お伝えした雄山・大汝山・富士ノ折立の標高ですが、雄山(おやま)が3,003 m、大汝山(おおなんじやま)が3,015 m、富士ノ折立(ふじのおりたて)が2,999 mになります。

実は私もビックリしたのですが、立山登山のメインとなる雄山の標高が大汝山より標高が低い事です。

てっきり一番高い山が雄山だと思っていたのでこれは再発見のネタになります。

 

ちなみに良く聞く『立山連峰』という言葉ですが、『立山連峰』は北アルプスの一部であり、

複数の山々を一つの総称として『立山連峰』と呼んでおり、富山平野からの望める山々のほとんどが『立山連峰』となります。

 

 

立山信仰の歴史

立山の開山は西暦701年頃に越中の国司・佐伯有若(現代の知事のような人)の息子・佐伯 有頼(さえきありより)により開山されたと伝えられています。

有頼は父が大事に育てていた白鷹を勝手に持ち出し逃がしてしまい、それを追いかけて山の奥深くまで入っていき、熊に遭遇し熊を矢で射ったところ、怪我をした熊はさらに山の奥深くの洞窟に逃げ(現在の立山付近)、その洞窟に有頼が入ってみると、洞窟の中にいたのは熊ではなく、矢の刺さった阿弥陀如来がいたのです。

その阿弥陀如来が有頼に「この山を多くの人々が信仰できるようにして欲しい」というお告げを受け、開山したという伝説が残っています。

 

そこから立山は霊山として人々の信仰を集め、立山の雄山が浄土の世界、剱岳や地獄谷を地獄の世界に例え、立山を巡拝する事により死後の世界を疑似体験し、死後の世界から戻ってくると法力が身に付くと考えられていたようです。

雄山そのものが仏として、阿弥陀様の極楽浄土の象徴となり人々の信仰の象徴となっていったようです。

 

今でも年配の方の中には『立山』の方角を向き、何かあると手を合わせる方もおられるようで、

現代にも信仰の残りはあるような気がしますね。

 

 

富山駅から『立山』山頂まで

それでは、いざ『立山』の頂上まで行ってみましょう!

富山駅からは富山地方鉄道の電鉄富山駅から立山駅行きの電車へ乗ります。

尚、新幹線の富山駅と富山地方鉄道の電鉄富山駅は改札が違うのでお気を付け下さい。

電車に揺られる事約1時間5分程で立山駅に到着します。

電車の車窓からは富山平野を縦断し少しづつ近づいてくる立山連峰を見ることが出来ます。

次に立山駅から立山ケーブルカーに乗り換えて美女平(びじょだいら)へ向かいます。

美女平からは立山高原バスに乗り換え50分程で立山登山入り口の室堂(むろどう)へ到着します。

尚、高原バスの車窓からは中部山岳国立公園の湿地帯などを見ることが出来るので是非、ご覧下さいね。(運が良ければ天然記念物の雷鳥を見る事が出来るかも…)

室堂へ到着したら乗り物はここまで。ここからは雄山の頂上まで歩くのみです。

登山道はしっかり整備されているので比較的に上りやすい登山道ですが、あくまでも登山です!

決して自分の力を過信せずしっかりとした装備と服装で登りましょう。

もし軽装備で行った際は無理に登山をせず、室堂周辺にも見所は沢山あるので散策してみてください。

室堂からは雄山頂上まで2時間程の時間で登ることが出来ます。

頂上へ着いたら先ずは雄山神社へお参りして、登山成功の感謝と下山の安全を祈願しましょう。

雄山頂上からの景色は実際に登頂してからのお楽しみに取っておきましょう。

天気が良く空気が澄みわたっている日なら遠く離れた富士山を見ることも…。

また、泊りがけでの登山にはなりますが夏場のご来光を見るのもお勧めです。

 

自分の健康状態をしっかり管理した上で、マナーを守り安全な登山をしてみては如何でしょうか?

 

 

『立山』は如何でしたか?

時間に余裕がないなどで立山や室堂まで行けない…、という方は無理をせず富山平野からの立山連峰を是非、ご覧下さい。

富山県内であれば多くの場所から立山連峰を見ることができます。

富山にお越しの際は、是非、壮大なパノラマビューを堪能して頂ければと思います。

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