富山市 観光

胡弓の音色響き渡る旧八尾町 越中富山の『おわら風の盆』

毎年9月1日から9月3日にかけて富山市八尾町※(旧八尾町)で行われる『おわら風の盆』。

約5000名程の人口(東町・西町・西新町・東新町・福島・今町・上新町・鏡町・下新町・諏訪町・天満町の合計)に対して3日間で訪れる観光客はなんと50倍の約25万人。

8月20日~30日にかけて行われる前夜祭を含めるとさらに観光客数は増加します。

 

今年も通常であれば9月1日から優美な姿を見る事が出来るはずでしたが、コロナウイルスの感染拡大防止の観点から中止となってしまい、実際に見ることはかないませんが、この記事を通して少しでも幻想的な風情を思い描いて頂ければと思います。

 

※八尾町(やつおまち)

 

 

おわら風の盆

おわら風の盆の歴史は古く、起源としては江戸時代の5代将軍徳川綱吉公の代の元禄期(1688年から1704年)にさかのぼります。

歴史資料の「越中婦負郡志」によると八尾の町衆が「町建御墨付」を取り戻したお祝いとして三日三晩踊り明かしたというのが始まりのようです。

正確な文献が残っていない為はっきりとした内容は不明なのですが、そこから形を変えお盆行事や台風が多い季節の風鎮祭になり、現在の『おわら風の盆』になったようです。

 

 

おわら風の盆の歌詞

おわら風の盆で歌われる唄が【越中おわら節】という民謡になります。

他の民謡と同じく基本構成は7・7・7・5の26文字の甚句形式になっています。

前半の7・7が上の句になり、後半の7・5が下の句となるのですが、この下の句の5文字の前に「オワラ」を入れるのが越中おわら節のようです。

 

この基本の26文字の唄を正調おわら(平唄)と言い、それ以外に頭に5文字付け加えた合計31文字の「五文字冠り」や、途中の字句を余らせて最後を5文字で結ぶ「字余り」などがあり、唄い手の唄いかたによって技量を見る事が出来ます。

【越中おわら節】

うたわれよ わしゃはやす

唄の町だよ 八尾の町は

キタサノサー ドッコイサッサ

唄で糸つぐ オワラ桑もつむ

 

うたわれよ わしゃはやす

ゆらぐ釣橋 手に手をとりて

キタサノサー ドッコイサッサ

渡る井田川 オワラ春の風

 

うたわれよ わしゃはやす

坂は坂でも 八尾の坂は

キタサノサー ドッコイサッサ

浴衣姿で オワラ踊る夜

 

うたわれよ わしゃはやす

富山あたりか あの灯は

キタサノサー ドッコイサッサ

 

飛んで行きたや オワラ 火取り虫

 

越中で立山 加賀では白山

駿河の富士山 三国一だよ

 

 

 

踊りの種類

おわらの踊りは大きく2つに分類されます。

先ず一つ目が「豊年踊り(旧踊り)」で、この踊りの所作は農作業を表しています。

老若男女問わず気軽に楽しむことが出来る踊りになっており、『おわら風の盆』の期間中の輪踊りでは一般の方でも踊ることが出来たり、おわら講習会などでも踊る事が可能です。

 

二つ目が「新踊り」と言われる「男踊り(かかし踊り)」と「女踊り(四季踊り)」です。

男踊りは豊年踊り同様、農作業の所作を表し、振りを大きくすることにより男性の勇猛さを表し、女踊りは蛍狩りの所作を表し、女性らしい艶を上品に表して踊ります。

 

 

地区によって味わいの違う踊り

『おわら風の盆』は旧八尾町全体で行われます。

東町・西町・西新町・東新町・福島・今町・上新町・鏡町・下新町・諏訪町・天満町の11の町内が全体となって行っていますが、町内によって踊り方や衣装が異なり、各町内を見比べて見るのも一興です。

また、公式行事が終わる夜11時以降になると地方の方々が個々の好きな着流しに着替え、気の知れあった人とグループと一緒に町流しをするので、こちらも是非、ご覧頂ければと思います。

毎年違った町内の踊りを見歩くというのも一興だと思いますので、今年はここ、来年はここといった感じで何年もかけて足を運んでみては如何でしょうか?

 

ちなみに私自身は富山に住んでいた時は、公式行事の時間は団体旅行のお客さんも多い時間帯なのであえて避け、この夜11時以降の町流しをよく見に行きました。

地方の方々がいたる所で大勢で踊っている所もあれば、少数で踊っている所などもあり個人的にはこれぞ三日三晩踊り明かす『おわら風の盆』といった感じを見る事が出来ると思います。

 

 

『おわら風の盆』如何でしたでしょうか?

今年はあいにく見ることは出来ませんが、来年は是非開催されて多くの方が生の『おわら風の盆』を見て頂けると思います。

 

この時ばかりは普段は若干人通りが寂しい富山駅が東京のような人混みになります。

また、ホテルなども中々予約が取れませんので、『行きたい』『見たい』という方は是非、早目の予約をお勧めします。

(ホテルは1年前の予約でも中々取れないようです…)

 

最後に旧八尾町は富山市の山沿いの地区になり、面積もそれほど広大な場所ではありません。

期間中は臨時駐車場を開設するものの、大型観光バス専用であったり事前予約者用の駐車場となりますので、公共交通機関の利用をお進め致します。

富山駅からはJR高山本線の「越中八尾駅」から行く事が可能です。

また、この期間は臨時バスなども多く出ますので、是非、ご利用下さい。

旧八尾町は坂も多く道も細い所が沢山あり、交通規制もかかりますのでマイカーでの乗り入れはご配慮下さい。

また、町全体が会場となり、民家の前で踊りを見る事も多いかと思いますので、マナーを守ってお越し頂ければと思います。

 

それでは来年こそは多くの方々に『おわら風の盆』をご覧いただけます事を願っております!!

 

-富山市, 観光